2019.05.23

Column

2050年の食生活

日本では2015年から人口が減り始め、2050年には9700万人になると予想されています。超高齢・少子・人口減少・単身社会が訪れたとき、日本の食生活はどのように変化しているのでしょうか。

profile

  • 立命館大学食マネジメント学部 教授

    田中 浩子(たなか ひろこ)

    専門は食品流通論。経営と栄養の2つの方向から食を見つめ研究している。好きな食べ物は鰤とワイン。

すでに起こった未来

「世界的な大戦争の再発、疫病の大流行、大隕石との衝突などの大事変がない限り、これから20年の世界を左右する支配的な要因は、経済でもなければ、技術でもない。それは、人口構造の変化である。とはいえ、社会にとっての問題は、40年ほど前から警告されている地球規模の人口爆発ではない。それは、日米欧における人口減である」

これは1997年にマネジメントの大家であるドラッカーが、「『すでに起こった未来』への準備」という論文で述べた言葉です。論文が発表されてから20年余が経過して、日本では2015年から人口が減り始め、2050年には9700万人になると予想されています。ここ数年、このような変化に対応するための動きが活発になってきています。

小さな拠点・集いの館で食生活の議論を活発に!

国は、「小さな拠点」と名付けた小学校区など、複数の集落が集まる基礎的な生活圏の中で、分散しているさまざまな生活サービスや地域活動の場などを「合わせ技」でつなぎ、人やモノ、サービスの循環を図ることで、生活を支える新しい地域運営の仕組みを作ろうとしています。

京都大学大学院の若林靖永教授は、評論家の樋口恵子氏らとともに、議論を重ね、日常生活を支えるプラットフォームとなる「集いの館」を中心としたコミュニティ構想を2015年に発表。この考えを元に生協を中心とした実際の取り組みも始まりました。

ほかもさまざまな議論が交わされていますが、2050年の日本は超高齢・少子・人口減少・単身社会であり、元気な高齢者が多いと予想され、そのような社会で生活するためには小学校区くらいの小さな単位で、食を支える仕組みや相談できる機会、自由な交流の場を有する施設が必要であるということが共通の認識となっています。ここを起点に、食生活について考えていくことができそうです。

2050年の食卓を想像してみよう

まずは、食料品を手に入れること。

ネットスーパーの発達と、宅配サービスが今の状態で維持できれば、インターネットが何不自由なく使える世代が高齢者となったときは、食料品アクセスは飛躍的に改善されるでしょう。しかし、「買いものをする」という行為には、単に「モノを手に入れる」だけでなく、選ぶ楽しみ、店員さんとの会話、市場やスーパーマーケットで出会った近所の人との立ち話など、多くのコトが付随しています。

また食品を組み合わせて食事を作りますが、「日本型の食生活」では、朝・昼・夜の変化、
昨日、今日、明日の変化、季節、催事による変化を求めます。

2050年の食卓を想像しながら、「日本型食生活を支えるしくみ」を一緒に考えていきましょう。