食がもたらす笑顔、笑顔が生み出す一体感
食を学問する立命館大学食マネジメント学部には、食を通じて世界を知りたい、日本と世界をつなぐ架け橋になりたいという学生たちが集まっています。今回のコラムではそんな学生たちの学びの様子をお伝えします。
profile
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立命館大学食マネジメント学部 准教授
宇佐美 彰規(うさみ あきのり)
ESP(English for Specific Purpose)、英語教育。海外のバックパック旅行から始まり、留学や出張で立ち寄った世界各地で地元料理を食べ歩くことが大好きです。好きな食べ物は、すき焼き、もつ煮込み、バッテラ。
Memorable Cuisine
新入生の英語クラスでは、自己紹介も兼ねて、思い出の料理・味を英語でプレゼンする時間を設け、日本各地から集まった学生それぞれが忘れられない食体験や思い出を発表しました。身振り手振りを交えてもなかなか思うように伝えられないもどかしさが、“Really Really good!”、“This dish tastes very good!”, “Best cuisine in the world! You can try it”などといった表現に滲みでていました。
おいしいを伝えたい
うまい!おいしい!を英語で伝えるときには、みな一様にdelicious、tasty、goodなどを使って表現します。 しかし、学生たちは次第に、“カリッとした感じ”、“鰹だしがしみ込んだ野菜”など、ことばの選択肢を広げ、思い描く味や感覚をより的確に具体的な表現で伝えたいという意欲を持つようになりました。もちろん、その根底に共通するのは、“おいしい”を共有したいという思いであり、忘れられない料理や味を語る満面の笑顔は、教室でお互いの距離が縮まっていく喜びを表しているようでもありました。
一体感を生む食コミュニケーション
当然ながら、日本語とは異なる言語で微妙なニュアンスを伝えることは簡単ではありません。15年以上前に出張でメキシコの地方都市を訪問し、立ち寄った屋台の牛ホルモンタコスの味は今でも鮮明に覚えています。当時、屋台のオーナーや現地人スタッフと気持ちを伝え合うツールは、学生と同じく身振り手振り、限られた英語コミュニケーション、そして笑顔だけでした。屋台以外には何も見当たらない高速道路脇で、現地の人と味わった一体感と強烈なにおいのタコスのおいしさはこの先も忘れることはないでしょう。
お昼ご飯何食べよう?
お昼休み前の授業が終わった瞬間には、「お昼ご飯何食べる?」という声があちこちで聞こえます。誰かと食事をすることがきっかけで何気なく打ち解け始め、より相手を知り、もっと自分自身を相手に知ってもらうコミュニケーションが生まれていきます。食を通じたコミュニケーションは、一緒にいる人との精神的な隔たりを狭めていくのだということを、改めて学生の発表から学びました。
“食”は、毎日の生活に欠かせないものです。そして、おいしいと感じた瞬間に発する“おいしい~”、 “Taste good“は、世界中のどこに行っても周りの人を巻き込んでいきます。食を通じてもっと世界を知り、日本と世界をつなぐ架け橋になりたいという学生たちの強い思いがあふれる教室で、より高い外国語コミュニケーション力を身につけるという共通の目標を達成していきたいと思います。
それでは、私もそろそろお昼ご飯を食べに行きます。
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