

フェアトレードを読み解く
近年、フェアトレード(公正な貿易)と呼ばれる、発展途上国の人々に正当な報酬を支払い、経済発展に寄与する取引を目指す社会的な動きがあります。カカオやバナナ、スパイスなどの食品・食材は、発展途上国の輸出品として、鉱物資源と同じように重要な位置を占めていますが、フェアトレードを考える際には、食に関連した国際取引を抜きにすることはできません。本当に良いビジネスとは何か。「フェアトレード」を読み解く1冊を紹介します。
グローバル企業に求められる企業倫理
『フェアトレードのおかしな真実-僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た』著・コナー・ウッドマン、翻訳・松本 裕(英治出版、2013年)
フェアトレードの国際市場が急成長する中で、本書は、グローバル企業は今後、単なるフェアトレードではなく、積極的に企業倫理が求められることを主張しています。ユニ・リーバのように、企業の倫理と儲けることを両立させている例をあげながら、サプライチェーンの末端のすべての従業員に、正当な報酬はもちろん、「尊厳と敬意をもって扱う」ことや「労働の質改善のための研修」までが、現代の企業倫理に含まれることが述べられています。
例えばチョコレートの食品企業が、カカオ生産国であるアフリカのガーナの人々を、先進国にある本社の従業員と同様に尊厳と敬意をもって接することは、実際に企業の収益アップに繋がることを説いています。言い換えると、今までの「貧しいのは彼らの自己責任であり、安価な労働を得て利潤を上げればよい」というような価値観は、今後の倫理水準を満たさないのです。
貧しさの克服は簡単なことではありません。しかし、グローバル化を迎えた現代において、同じ地球上で生きている限り、お互いに尊厳と敬意を持つことは今まで以上に重要となり、このような倫理観とその実践が、食関連を含めたグローバル企業が今後真に競争に打ち勝つ要因でもあることが、本書から読み取れます。
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